日本で発行されている新聞はたくさんありますが、その特徴や論調には大きな違いがあります。購読する新聞を決めるときには、価格だけでなくこうした特徴を押さえた上で、自分にぴったりの新聞を選びたいですよね。
新聞代を節約するという意味でも、各紙の特徴を理解して自分にとってコストパフォーマンスの高い新聞を選択することはとても大事なことです。
そこで、本記事では五大新聞の特徴と違いについて解説していきます。
五大新聞とは?
まずはじめに、五大新聞とは以下の新聞のことを指します。
これらの新聞は「五大紙」、「中央五紙」、「五大全国紙」とも呼ばれ、日刊紙の総発行部数のうち約5割を占めると言われます。
数ある新聞の中でもその権威はトップクラスであり、国民の多くが購読している新聞だと言えます。この大手5紙の特徴を押さえておけば、代表的な新聞の性格が把握でき、新聞選びもしやすくなるはずです。
それでは、さっそく各紙の特徴について見ていきましょう。
読売新聞
発行部数1位の代表的な新聞
読売新聞は1874年(明治7年)創刊の、歴史ある新聞社です。
オリンピックを初めて「五輪」と表記したと言われているんだよ
発行部数は全国一位ですが、それだけではありません。実は読売新聞の発行部数は世界一としてギネスブックに認定されています。このことから人気が高く、多くの人に選ばれていることが伺えます。
庶民に寄り添い人気がある
その人気の秘密は、各紙面の分野を問わず全方位に内容の濃い記事を掲載していることだと考えられます。一般的に新聞でイメージする政治経済だけでなく、スポーツ、エンタメ記事にも定評があり、バランスが良い新聞だとされています。
これらのことから、バリバリのビジネスマン、ビジネスウーマンでなくても気軽に読めるという点で一定の評価を得ているのが読売新聞です。
年始の箱根駅伝の共催者でもあるんだよね
新聞に興味がない人でも馴染みがあるイメージだね
ちなみに、読売新聞の4コマはコボちゃんが知られていますね。また、スポーツチームとしてはプロ野球の読売ジャイアンツが有名です。当然ながらジャイアンツの記事は非常に充実しており、巨人ファンだから読売新聞を読みたいという人も多いです。
現在の論調は保守系
論調についてですが、歴史を紐解くともともとはリベラルで政権批判や革新系の報道が多く見られましたが、近年は保守的で政権寄り、いわゆる右派的な立場だと言われています。
どういうこと?
つまり今の政府を擁護して、批判することは少ないということだね
読売新聞は一番人気の王道ではありますが、世の中に対して「ズバッと言って欲しい!」という人には物足りないと感じることもあるかもしれませんね。
朝日新聞
受験に強みがあり上級感のある新聞
続いて朝日新聞ですが、創刊は1879年(明治12年)、発行部数は読売新聞に次いで全国2位となっています。夏の甲子園を開催していることも有名ですね。
読売新聞に対する違いを一言で言うなら、「ちょっと上級」といったところでしょうか。エリート層は好んで読むとされ、実際、読者の大卒以上の割合や平均世帯年収は日経新聞に次いで2位であるという調査結果も目にします。
また、朝日新聞の記事が受験問題に引用されたり、学生向けに天声人語の書き写しが進められたりしていて、「受験の朝日」という異名もあります。
子供の受験を考えてる人にもおすすめだね!
あと、「しつもん!ドラえもん!」という生活の知識を紹介するコーナーがあって、子供達にも馴染みやすくなってるよ
政権批判など革新よりの論調
次に論調について見ていきます。朝日新聞は権力から独立したメディアを目指し、権力の監視を使命としているそうです。簡単に言えば「本当に今のままで良いのか?」という視点に立つので、政権を批判したり自民党を非難する記事も多く掲載されています。
批判するのってあんまりイメージ良くないけど…
でも今の世の中に対して常に疑問を持つ姿勢は、とても大切なことなんだよ
朝日新聞は反権力として政府の対応に疑問を投げかけたり、既得権益などの矛盾を指摘した切れ味鋭い記事が読者層に好まれているのだと推測されます。このあたりが「ちょっと上級」というところにつながるのかもしれません。
上記の背景もあり、政治色はやや強めで思い切った記事を書くこともあるためネット上で炎上することもありますが、権力に屈しない報道姿勢こそメディアのあるべき姿、という意見も多いようです。
読売新聞とは逆の論調だね。左派よりってことだね!
ちなみに朝日新聞には、夏目漱石や石川啄木などの文豪が入社しているんだよ
毎日新聞
戸別配達は世界初。歴史ある真面目な新聞
1872年(明治5年)に創刊した東京日日新聞というのが毎日新聞の前身となっています。明治5年というのは朝日新聞や読売新聞よりも古く、毎日新聞は日本で最も歴史のある日刊紙となっています。
今では当然のように思える戸別配達も、世界で初めて実施したのは毎日新聞です。現在、三大新聞といえば読売、朝日に毎日新聞を加えた三紙を指します。
歴史が長いこともあり、毎日新聞は「真面目」というイメージを持たれることが多いです。新聞協会賞において優れた報道に対して贈られる編集部門の受賞回数の最多記録を保持しており、その取材力の高さは各方面で評価されています。
ちなみに、高齢の読者層も多いんだよ
その辺も真面目なイメージが強まるね
論調は中道から革新より
「一般的な感覚を持つ人が知りたいことを記事にする」のが毎日新聞であり、その論調は中道的な立場をとっていました。ただし、最近は産経、日経を含めた五大紙の中では中道というより革新側の立ち位置になっていたり、記者によって論調が変化しているという指摘も受けています。
また、毎日新聞では前の月の社説のテーマについて、他の新聞社と比較しながら解説したり、異なる視点で多角的に記事を掲載している印象です。
革新系っていうのは朝日新聞に近いってことかな?
五大新聞の比較で言うとその通りだね!
地域差があるのも特徴
発行部数は読売、朝日に次ぐ3位です。近年は日経新聞と抜きつ抜かれつというところですが、実は地域によっても差があります。大阪や福岡の一部地域では読売朝日に匹敵する部数を誇っており、首都圏では埼玉北部に強いというのが特徴です。
産経新聞
比較的新しく、「モノを言う」新聞
産経新聞の前身は日本工業新聞で、1933年(昭和8年)の創刊です。読売、朝日、毎日に比べると比較的新しい新聞だと言えます。
その歴史で言えば、フジテレビやニッポン放送、文化放送と共にフジサンケイグループを結成したことが有名です。
モットーは「モノを言う新聞」。この方針にしたがって、総合面ではこれから日本が進むべき道を提言する記事が掲載されています。
日本が進むべき道…!
といっても固い感じはなくて、むしろ初心者にもおすすめな新聞だよ
初心者にもわかりやすい解説。論調は保守系
産経新聞は他社とは異なる視点からの記事が多いと言われています。中でも産経抄というコラムは各記者が独自の見解を展開していますが、読者の立場に立っていてわかりやすいと高く評価されることも多いです。
その他、年金、医療、介護などの身近な社会保障についても生活面で丁寧に説明されています。
産経新聞は初めて読む人にもわかりやすいですが、保守的で政権擁護の論調もあいまって、物足りないという人もいるようです。権力批判こそメディアがやるべきだという考えの人にはあまり向いていないかもしれませんね。
ちなみに、他社に比べると価格も安いよ!
これから購読を始める人に優しい新聞だね
また、実は地域ごとに分かれていて東日本版、大阪本社版、九州・山口特別版があり、配達先によって申し込み先も異なるので注意が必要です。
日経新聞
ビジネスマン必見の最強経済紙
日経新聞の創刊は1876年(明治9年)になります。前身の中外物価新報が創刊された年です。
日経新聞といえば、ビジネスマンが読んでいる経済紙というイメージが強いですね。国内、海外の企業の実績や投資情報など、多岐にわたる経済情報が満遍なく記載されています。
世界最大の発行部数を誇る経済新聞であり、なんと日本の役職者の7割が日経新聞をチェックしているそうです。就活のときに企業研究や経済情勢を知るために購読をすすめられたり、「社会人になったら読んでおけ」とも言われます。
日経新聞を読むと、各企業の経営状況とか今後発展しそうな事業とかがわかるよ
だから就活生にはうってつけの新聞なんだね
その人気の理由はなんといっても経済関連情報の圧倒的な充実度でしょう。経済面、企業面の記事の内容で言えば他社とは一線を画しており、大企業の重要会議における一幕が実際のセリフや幹部の心情と共に紹介されるなど、取材力の高さが伺えます。
経済重視のため二紙購読もあり。論調は中道的
政治、社会面でも景気活性化のための政策や同盟国との貿易など経済を背景に考えた記事が充実しています。その一方で、スポーツ関係は必要最低限で、芸能関連の記事もほとんどなく、名前の通り経済特化型の新聞だと言えます。そのためか、読売・朝日のどちらかと、日経新聞の二紙を購読するという人も多いです。
また、論調については五大新聞の中では中道的であり、革新・保守のどちらでもないという立場となっています。
日経新聞は中道か〜。論調って新聞によって全然違うんだね
それぞれに個性があって面白いよね!
まとめ
五大新聞の特徴と違いについて説明させて頂きました。本記事をまとめると以下のようになります。
- 読売新聞
- 発行部数は世界一
- 庶民に寄り添い、総合力で人気がある
- 論調は保守系・右派より
- 朝日新聞
- 上級感あり
- 受験に強い
- 論調は革新系・左派より
- 毎日新聞
- 日本一長い歴史を持つ
- 真面目な印象
- 論調は革新系・左派より
- 産経新聞
- 「モノを言う新聞」が信条
- 初心者にもわかりやすい
- 論調は保守系・右派より
- 日経新聞
- ビジネスマンの経済情報入手に必須
- 二紙購読もあり
- 論調は中道的
一見同じように見える新聞もそれぞれ特徴があり、論調もかなり違っていることが分かったかと思います。
なお、新聞代が高くて見直したいと思っている場合には、以下で新聞代を節約する方法について解説しています。今回紹介した五大新聞の料金比較表もありますので、価格を気にする場合は是非参考にしてください。
また、以前書いたとおり最近は新聞をとらなくてもニュースアプリが充実してきており、新聞の一部を無料で読むことすら可能なので、選択肢はかなり広がっていると思います。この辺りも是非チェックしてみてくださいね。
あなたも各新聞の価格や特徴をしっかり押さえて、自分にとって最適な新聞を選んでみてください!